ONE VOICEレーベルから6月25日にケイ赤城トリオの新作が登場。89年〜91年までマイルス・デイヴィスのグループでレギュラー・メンバーとして活躍していたケイさん。そこではほとんどシンセサイザーをプレイしていました。"マイルス・グループにいたケイ赤城"ということで広く認知されていたけど、彼本来のピアニストとしての力量は知る人ぞ知る的なところがあったように思います。
当時、ケイさんはアル・ディメオラのグループで仕事をしていました。たまたまアルのマネージャーがマイルスのマネージャーでもあったことから、マイルス・グループでキーボード奏者を探しているということでケイさんにも話がきました。自分の演奏をマイルスに聴いてもらおうと、ケイさんは生ピアノでバリバリのストレートなジャズを演奏したテープを送ったところ、そのテープを聴いたマイルスからOK(採用)の返事がきたということです。しかしながらグループに入ってからピアノを弾く機会はなく、ひたすらシンセサイザーだったとのことで、ケイさんも"よくあのテー
プを聴いてオレを採用したと思う"と不思議がっていました。ただマイルスはその時点でケイさんの確かな力量を見抜いていたのだと思います。"彼なら問題ない、大丈夫だ"と。
私はケイさんのピアノの凄さ、素晴らしさをじっくり体感出来たのは3作前のアルバム『ヴューポイント』のレコーディング時でした。今でも覚えていますが、レコーディングのためのリハーサルを都内では有名なジャズクラブ"六本木アルフィー"でやったときのことです。私はアルフィーで初めてケイさんに会いました。挨拶を終えて、アルフィーのピアノに向かうケイさん。ベースは鈴木良雄、ドラムは村上寛。"じゃ、そろそろ始めようか"と言ってアルフィーのピアノを弾き出しました。一瞬、私は耳を疑いました。"えっ、凄い音じゃん"。アルフィーのピアノの音が突き抜ける感じで大きく響き渡ったのです。今までライヴで何度となく聴いたアルフィーのピアノですが、こんなに大きく立派な音を聴いたのは初めてでした。驚きと同時に感心してしまいました。やはりケイさんはただ者ではないと確信しました。
そんなケイ赤城が新生トリオでアルバム『ア・ヒント・オブ・ユー』をリリースします。
是非聴いてみてください。凄いことになってます。特に3曲目の「ヴァーティカル・フラグメンツ」は圧巻です。